講演抄録/キーワード |
講演名 |
2019-03-06 14:15
ヒトの予測的視運動性眼球運動の特性評価 ○松澤裕太・平田 豊(中部大) NC2018-81 |
抄録 |
(和) |
本研究は,未だ工学的に実現することが困難な,人やそれ以外の多くの動物に認められる予測性運動制御の脳内神経機構を明らかにしようとするものである.その中でも視運動性眼球運動(OKR)と呼ばれる反射性眼球運動を対象としている.OKRは,視野の広い範囲の視覚対象が一定方向に動いた際,それに追従するように同一方向に誘発される眼球運動である.金魚では,視覚対象の動きが周期的に方向を反転させる環境に晒され続けると,方向切り替わりタイミングを予測するように眼球速度を予め減速する行動(予測性OKR)が獲得される.また,金魚におけるこうした予測性OKRの獲得には小脳が必要であることも示されている. 金魚とヒトの小脳神経回路の基本構造は高い類似性を持つことから,ヒトにおいても金魚と同様,予測性OKRが獲得されるはずである.本研究では,この仮説を検証するために,まず,ヒトのOKR評価システムを開発した.このシステムは,Virtual Reality(VR)用Head mounted display(HMD)とその中で眼球運動計測を可能とするEye Trackerから構成されており,ゲームエンジンUnityを用い,VR空間で様々な3D視覚刺激を構成し,被験者に与え,同時にHMD内で両眼眼球位置を計測できるものである.本システムにより12人の被験者に周期的に方向が反転する視覚刺激を与え続けたところ,予測性OKRに似た刺激方向切り替わり前の明確な眼球速度低下が11人で観測された.しかしながら,金魚の予測性OKRとは異なり,獲得後異なる周期の刺激を与えると,わずか半周期で予測成分が消失した.この差異の要因として,ヒトのOKRには,金魚にはない滑動性眼球運動(SP)の成分が含まれることが考えられた.そこで,SP成分を除去するために,実時間眼球位置フィードバックシステムを構成し,現時刻の眼球位置に応じてSPの誘発に必要な網膜中心窩付近の視覚パターンをマスクする刺激を考案した.これを用いて,3名の被験者に上記と同様の学習をさせたところ,マスクなしでは予測性眼球運動を獲得したが,マスクありでは全員が獲得しなかった.これらの結果から,ヒトにおける予測性OKRは,SPによることが強く示唆された. |
(英) |
(Not available yet) |
キーワード |
(和) |
予測制御 / 運動学習 / 小脳 / 眼球運動 / バーチャルリアリティ / / / |
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文献情報 |
信学技報, vol. 118, no. 470, NC2018-81, pp. 205-205, 2019年3月. |
資料番号 |
NC2018-81 |
発行日 |
2019-02-25 (NC) |
ISSN |
Online edition: ISSN 2432-6380 |
著作権に ついて |
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